2013年11月27日水曜日

勇気が必要なとき、忍耐が必要なときにそっと読み返す本~『それでもあきらめない ハーバードが私に教えてくれたこと』

(今年の1月に書いたブログを、本日開催の読書会に合わせて大幅に加筆修正しました。)





「ハーバード」とか「スタンフォード」とかがタイトルについていると避けてしまうのが常のなのですが、この本はご縁があって手に取ることになりました。

ご縁というのは、著者の林さんと僕が共通の師を持っていたということです。この本の82ページに登場しますが、野村るり子さんという方です。僕が初めて社会人講座なるものに参加したのは、早稲田大学オープンカレッジ八丁堀校の「ゆっくり学ぶロジカルシンキング」でしたが、そのときの講師が野村先生でした。

そして、今年の1月、この本を読んでブログを書いた数日後に野村先生は亡くなりました。病気だったのは知っていましたがそこまで悪化されていたとは思っていなかったので驚きました。僕なりの野村さんへの想いは、この記事に書かせていただきました。⇒『すべては八丁堀から始まった

林さんが野村先生とどういう関係だったか、僕はうかがい知ることはできません。多少なりとも野村さんを知っているので少しは想像できますが、そんな域を超えて濃厚だったのではないかと思います。こちらのブログを読んでもらえば、その一端がわかります。⇒次へ


<目次>
はじめに
プロローグ
第1章 変化
■やりたいことがわからなくてもいい
■変わることを恐れない
■少数派であることに誇りを持つ
■孤独と友達になる
■2つのキーワードで自分を表現する
■そんなことにも本気を出す
■言葉の持つ力を信じる
第2章 転機
■選ばれなかった人は他の道に選ばれている
■自分の「武器」を見つける
■「ノー」を恐れず行動する
■「あるべき社会」から自分の未来を考える
■すべてのことには意味がある
■自分の弱みを受け入れる
第3章 仕事
■「雑用」に魂を込める
■準備に手を抜かない
■自分の役割を見極める
■細部の美しさを追求する
■感情のコストをコントロールする
■仕事に自分の色を加える
■質問の作法を身につける
第4章 心
■隣人を愛する
■「ありがとう」を忘れない
■つらいときこそ品位を保つ
■与えて、与えて、与えて、与えられる
■二兎を追いながら二兎とも得る
■心をベストな状態にキープする
第5章 未来
■与えられた恩恵を社会に還す
■思い立ったらすぐ行動する
■「何となく」で決めていい
■自分に限界をつくらない
■信じるけれども執着しない
エピローグ


『何度挑戦しても失敗をし続け、すっかり落ち込んでいた私に声をかけてくれたのは、ハーバードの卒業生である野村るり子さんだった。
「選ばれなかったということは、他の道に選ばれたということよ」
この言葉に、私はずいぶんと救われた』
(p82)

僕もこの言葉を聞いた記憶があります。その時は進行形で「選ばれなかった」というような体験をしていたわけではありませんでしたから、救われたわけはなかったのですが、この言葉はなぜか残っていました。

あとで考えれば、自分の過去にも「選ばれなかった」という経験が山のようにある。そのことを「あの体験があったから今の自分がある」と思えるようになったのは、この言葉の存在も大きかったのだと感じました。

エピローグには、林さん自身の「選ばれなかった」経験がたくさん書かれています。そこを読むだけでも学ぶべきエピソードはあると思います。しかし、この本は、就職や留学とさまざまな挫折してきたひとりの女性が、「ハーバードへの留学を勝ち取る物語」ではありません。その話はエピローグだけです。そこで終わることなく、ハーバードで学んだこと、それも学問的なことではなく、ハーバードの仲間から学んだことをおあますことなく伝えてくれています。


「勇気が必要なとき、忍耐が必要なときにそっと読み返してもらえるような、そんな本として手元に置いてもらえたら、と願っている」(p9)

僕自身、そうやって今年、何度もこの本を読み返しました。

31個のメッセージ、上にすべて並べてみました。字面だけ見れば、あたり前のことだと思うでしょう。でも、できてますか?いや、それ以前に、そのことを本当に真剣に考えていますか?僕は読み返すたびに「考えてないなあ」と思うことがあります。

1月にブログを書いたときには、「変わることを恐れない」と「与えて、与えて、与えて、与えられる」をピックアップして記事にしました。いま書くなら「「ノー」を恐れず行動する」「与えられた恩恵を社会に還す」「思い立ったらすぐ行動する」「「何となく」で決めていい」あたりについて書くだろうな、と思います。読み返すたびに、違うところが胸に刺さるので。

だったら書けばいいだろう、といわれそうですが、いまは書かない(笑)読書会が終わって、みんなの話を聞いてからまた考えます。

いま、この場で伝えたいことは、ただ「この本をできるだけ多くの人に読んで欲しい」ということ。

ハーバードという、世界のトップエリートだと思われている人たちが、いかに回り道をしてそこにたどり着いているのか。僕らの挫折など大したことではない、と思わせてくれます。

そして、そうした人が日常、なにをしているのか、知ることができます。それは驚くほどシンプルなことばかりです。そのシンプルなことを実践できるかどうか、実践できるるとどう変われるのか、それを知ることができる本です。

このブログを読んだあなた、これもご縁です。是非、読んでみてください。


それでもあきらめない ハーバードが私に教えてくれたこと